この本は、ガイ・カワサキ著の日本題:「徹底的に敵をへこます法:ビジネスを優位に導く”狂騒”戦略」(英題:How to Drive Your Competition Crazy)で1997年にアメリカで出版されたビジネス本です。とてもいい本なのですが、残念ながら日本では既に絶版となっており、現在存在するのはヤフオクやメルカリでの個人売買のみとなっております。ですが、英語版では現在でも簡単に手に入るので、英語の本が読める人はKindleで購入し、読んでみてください。Chapter毎の副題は私自身でその章を最もよく表しているテーマにしました。英語版の本の直訳ではないのでご理解ください。

そこで、今回は内容について簡単にまとめて大事な点をシェアしていきたいと思います。上記で述べた通り、この本はガイ・カワサキによって書かれており、彼は著述家、演説化、元Appleのエバンジェリスト(企業内のみならず、外部へテクノロジーなどの詳細をわかりやすく啓号する役割を持った人)として知られています。この本では当時のテクノロジー業界、自動車などの生産業など様々な業種についての例題をあげ、どのように企業をマネジメントし、経営を成功へと導く上で大切な思考、哲学などについて書かれている本です。

今回はこの本から特に重要な点3つを厳選し、解説していきたいと思います。この本が私たち読者に何を伝えようとしているのか、そして3つの大きな重要な点、”自社を知る”、”顧客を知る”、そして”競合を知る”と言うことについて解説していきたいと思います。

まず本文を始める前に、この本では狂騒(競争)を促進するための”明確な思考”、”抜け目のなさ”、”根性”、”ハードワーク”などのことについて様々な例を出して書かれています。最初の3つの例は、

1)コロラド州に進出したピザチェーンがイエローブック(日本での電話帳)にピザ2枚で1枚の値段の広告を出した

2)50年前リチャード・シアーズは人々がモンゴメリー・ウォードの上にシアーズのカタログを積み重ねるように、シアーズのカタログを小さくした

3)バンク・オブ・アメリカが2つの支店を閉じて合併したとき、First Interstate Bank(ファースト・インターステイト・バンク)は閉鎖した方の銀行に取り残された顧客のためにFirst Interstate Bankがトラックを派遣し、残りの顧客を囲い込んだ

この本は主に顧客を喜ばせ、売り上げと利益を上げ、競争を助けるための知識を与えます。1についてはかなり強気な広告でした。何でも普段ピザが一枚買える価格で二枚買うことができます。これは日本ではあまりみられないかもしてませんが、アメリカのスパーマーケットではごく普通の光景です。ピザに限らず、鶏肉や、靴など様々なものがこの”Buy one get one free.”(一つ購入でもう一つは無料)というキャンペーンをやっています。これをやると商品の認知度はもちろん、多くの人が買い物に殺到します。こうして商品の販売と広告を同時に行っていきます。次に2番目の例については、たくさんの似たような雑誌がある中で自分の企業の雑誌を選んでもらうには、一番上に積み上げられれば良いという発想から来ています。私たちが多くの雑誌を積み上げる時、大きい物が下にそして上に行くにつれだんだん小さくするでしょう。その心理を使い、リチャードは彼の会社の雑誌をわざと一回り小さく作り、目立たせることにしました。そして3番目の例では、元々バンク・オブ・アメリカにいた顧客が近隣の銀行を閉鎖されて行き場を失っているところに登場し、彼らの客を獲得していったということです。新規顧客を開拓するよりも他銀行にいた客を自分の銀行へと引き入れる方がバンク・オブ・アメリカにとってはダメージが大きいです。なぜなら、今後考えられる預金と今まで預けていた預金の両方が他銀行に行ってしまいます。そしてその顧客たちを再び取り返すのは非常に難しいです。そのためインターステートバンクは、すぐに動きました。これらが“明確な思考”、“抜け目のなさ”、そして“根性”を持ってマーケティングすることの大切さです。ここからは3つの非常に重要なポイントについて解説していきます。

競合を知る- 自社の敵を定義

自社の敵を定義することで、企業は適切なターゲットを設定することができ、今後のビジネスの目標となる”敵”を決めることができます。本では、スタートアップが企業の敵を定義する重要性について解説しています。設立したばかりの企業を軌道に乗せ、市場で既に市場に存在している企業に勝つには、自社にとっての適切なライバル企業を見つけ、そのライバルを競合そして据える必要がある。それがビジネスを大きく、正く成長させるための最も大切な要素でと言っています。例えば、Appleは創業当初競合をCompaqやKaypro(どちらも同じコンピュータやソフトウェア、通信機器の企業)ではなくIBMとしました。現在、その判断は確実に正しかったと言えますが、当時なぜこの様な判断ができたのでしょうか。理由はいくつかの理由があるのですが、

1)自社と競合の業界でのマーケットシェア。

2)会社規模。

3)事業・企業の将来性。

4)従業員たちがそのバトルにワクワクできるか。

これらが競合を据える目的と、重要な点だと考えられています。例えば、Appleがこれらを適切に分析した結果、競合はIBMとなったのです。結果論ではありますが、Appleが創業当初IBMではなく他の2つの企業をライバルとしていたとしたら、今のような成功はなかったのかもしれません。ですが、創業当時からこれらのことを考えて経営をしていたことを考えれば、Appleがいかになるべくして大企業へとなったかがわかります。

自社を知る-企業の独自性、企業理念・哲学を定義

ここでは、企業の独自性、企業理念・哲学を定義するという話です。本にはこう質問が書かれています。30分間で、次の3つの質問について考えてみてください。

1)あなたの会社のビジネスの根幹は何ですか?

2)5年後、10年後、20年後、50年後にあなたの会社はどうなっていますか?

3)もし、見込み客があなたの会社から製品やサービスを買わないとしたら消費者はどこから手に入れますか?

これらを考えることで、自社のビジネスの強みと弱み、そして進むべき道が見えてくるかと思います。例えば、AppleのiPhoneを買わない人はおそらくどこかの会社のAndroidのスマートフォンを買うでしょう。Apple Musicを契約してない人はSpotifyやLINE Music、Amazon Musicなどを使っているかもしれません。この様に、自社のビジネスや競合他社、そしてマーケットでのポジションを考えることで、今後企業が立てるべき戦略、またはマーケティングの方法などが見えてくると思います。さらに、1ページのレジュメを作成し、あなたの企業を他人にプレゼンすると仮定し、経験、企業の哲学、達成した仕事など、自社を他社へと売り込むつもりでアピールする。さらにもう一つの企業分析の方法として、1枚の紙を用意し、真ん中に縦に線を入れる、左側にあなたの企業の6つの最も重要な特徴を書く。そして右側には、左に書いた6つの特徴についてそれぞれ見込み客は何と言うか書き込む。この分析をすることで、自社の独自性そして市場での顧客からの視点、さらに今後の事業戦略を練る上での助けになります。これら2つの分析を行うことで、企業の独自性または強み弱みを明確にすることができ、今後のマーケティング戦略を練る上での重要なデータになります。

顧客を知る-マーケットと顧客分析

新規参入の企業(Start-Up)がどのように消費者から注目され、市場のシェアを獲得していくかについても書かれています。この場合、まず自社の強みと弱みを十分に分析し、消費者のニーズを自社の商品・サービスはそれにマッチしているかを考える必要があります。そして、それに適した競合に焦点を当て戦略を立てていくことが必須です。顧客は何を求めていて、それをどこから手に入れることができるのかを分析する必要があります。ですが、ここで直接顧客にアンケートをとるのではなく、あくまで自分たちで市場を分析し、顧客のニーズを掴む必要があると言うことです。例えば、以前Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズはこう言っていました。「市場アンケートをし顧客が望むものを何か調査するのは簡単である。だが、消費者たちは今市場にあるものの中からしか想像できない。そのため何か新しいものを生み出すためには、顧客のニーズを自ら作り出し、顧客へ提示する必要がある。」もし自分たちが市場調査をしていたらiPhoneやiPodなどの商品を生み出すことができていただろうか。このようにスティーブ・ジョブズは消費者の分析と自社の製品またはサービスについて語っていました。あくまで自社で市場と見込み客を分析し、今後のビジネスの可能性を探る必要があります。顧客を分析するための3つのステップがあります。それは、

1)自社は何をするか。

2)顧客は何を望むか。

3)競合は何をしていないか。

この3つのステップを踏むことで、十分に自社が接する市場と顧客について分析することができ。適切なビジネス戦略を立てることができます。

最後に

このように、この本では、いかに自社を知り、マーケット、競合を知ることが企業を大きくする上で大事かということです。この本のように、スタートアップは特に、自社の強みと弱み見込み客市場でのパフォーマンスを分析することで、企業を大きく成長させることができます。なので、スタートアップの経営者には特にこの本はおすすめです。徹底的に敵をへこます法では、主に3点。自社を知ること競合を知ること。そして、消費者を知ることで、新規参入のビジネスで適切なステップを踏み、企業を正しい軌道に載せることができます。これらの分析なくして適切なビジネス戦略を組みた立てることは非常に難しいです。Appleが創業時にライバルとしてMicrosoftを据えていなければ、今のような成功はないかもしれません。そして自社のサービスと、顧客のニーズを分析することで、iPhoneやiPad、Macのような超人気商品を世に送り出すことができたのかもしれません。この本からは経営者のみならず、ビジネスマンとして働く多くの人に非常にためになるスキル・知識を得ることができます。以上でガイ・カワサキの「徹底的に敵をへこます法」の本紹介を終わります。最後まで読んでいただきありがとうございます。

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