私が通っているアメリカの大学では、プレゼンテーションの授業が必須でした。そのため、プレゼンテーションのクラスを取りましたが、日本ではこの様な授業はあまりないのではないでしょうか。なんでも、アメリカの大学ではクラスでセメスターに1度はグループプレゼンか個人プレゼンがある場合がほとんどです。(もしかしたら私の大学だけかもしれません。)ですが、基本的にアメリカの大学や企業では意見を他人へ発信することが大切で、多くの企業のトップや様々な分野の有名人のプレゼンテーションがYouTubeでシェアされています。社会へ発信するということは現代では相当重要なことなのです。大統領のバックには必ず、プレゼンのシナリオを作るライターがいます。そして、各企業のCEOがプレゼンをする時にもPublic Relationのスペシャリストがついている場合があります。そして多くの場合、プレゼンが美味いと言われている有名人やCEOなども最初からうまかったわけではなく何十回、何百回と練習をし、有名になった人が多いそうです。
既に亡くなりましたが、ステーブ・ジョブズはプレゼンテーションが上手な人の一人として知られています。ですが、彼も最初の頃は胃が痛くなるくらいプレゼンが嫌いで、大きな発表の際は常にナーバスになっていたそうです、Barkshare Hathawayのウォーレン・バフェットも人前で話すのが苦手で、デール・カーネギーの話し方の講座に通っていたそうです。
大統領選でのパブリックイメージ
大統領選での各候補者たちの演説は、投票数に大きな影響を与えます。実際、大統領の候補者演説の成功が大統領になるための大きな要素です。もちろんマニフェストなどの政策的な内容はもちろん大事ですが、プレゼンテーションが上手くいき、聴衆からの賛同が得られるかが最も大事なのです。アメリカ大統領選では、ワンフレーズでインパクトの強い言葉が好まれます。それだけで決まるわけではないですが、アメリカは多様な人種が集まっているので、みんなが難しい英語を理解できるわけではありません。そこで、単純だとしてもインパクトの強い、簡単な言葉を使う人が認知されやすいのです。例えば、「Yes, We Can.」「Make America Great Again.」などワンフレーズで国民大きなインパクトを残すことができます。これらの言葉は、新聞にも大きく載りやすいですし、現代であればソーシャルメディアでも十分に伝わるのではないかと思います。
ジョン・F・ケネディの秘策〜見た目の影響
ジョン・F・ケネディはアメリカの大統領選で初めてメディアを上手く利用した大統領です。1960年の大統領選で民主党の代表として、共和党のリチャード・ニクソンと戦いました。この当時、新聞やラジオが情報を伝える際の主な連絡手段でした。そこで、テレビが一般家庭にも普及される様になり、ケネディ陣営はテレビを重要なマーケティングの手段と捉え、テレビ映りを考え、メイクやスーツの色遣いに気を付けアピールしました。結果、ケネディは聴衆から好意的に受け入れられたのに対し、ニクソンはあまり好意的には受け入れられませんでした。なぜなら、ニクソンはテレビに映るための準備ができていなかったため、テレビによる印象はケネディの大勝利として終わりました。このことから言えるのは、プレゼンテーションは内容も大事ですが、見た目のインパクトもそれと同じくらい重要な要素だということです。なんでも人が見た目やパワーポイントなどの視覚から得る情報は想像以上に大きいということです。なので、大事なプレゼンテーションでは見た目にも気を使ってプレゼンをすることをお勧めします。スーツでプレゼンをする男性の方は与えたいイメージによってネクタイの色を考える。そして、女性もその日の服のコーディネートを与えたいイメージによって変えることをお勧めします。
成功するプレゼンのやり方
プレゼンの授業で学んだ中で、プレゼンを行う際のアウトラインは、Getting Attention(注意)-Introduction(導入)-Body(内容)-Conclusion(結論)。Attention Getterとは聴衆を引きつける、面白かったり、問題提起をする一言です。Introductionでは、プレゼンの内容について短く、どの様な流れで話すかを要約して伝える。Bodyでは、各パートごとに(例題-解説-要約-次への繋がり)これをひとまとまりとして各トピックごとに繰り返す。Conclusionでは、最後にプレゼンテーション全体の要約をし、異なる言い方で導入で述べた意見を言う。この様な流れでプレゼンテーションを行うことで、伝えたいことを的確に、かつ論理的に相手に伝えることができます。そして、通常プレゼンテーションの前に自己紹介は済ませるので、プレゼンテーションで自分について述べるのは避けた方がいいです。プレゼンテーションはあくまで提案をしたり、聴衆に新しい考え・経験を伝えるためです。
エイミー・カディ「ボディランゲージが人を作る」
これは、TEDの動画ですが、ボディランゲージがどう人の精神の影響を及ぼすかという話をしています。自信がなくても、自信があるかの様なボディランゲージをしていれば、自信はついてくるということです。体を小さくするということは自信のなさを脳に印象付けます。反対に体を大きく見せることで、体に自信が宿ります。スポーツで点数を決めたり、1位になったりした時、人は両手を上にあげたり、大きくガッツポーズをしたりします。この時、人は自信に満ち溢れています。良いことが起こった時に自信があるポーズをするのではなく、自信のあるポーズをするということが大事です。プレゼンテーションでも、声が大きく、自信満々にしている人の方が説得力があり、聴衆を引きつけます。(https://www.ted.com/talks/amy_cuddy_your_body_language_may_shape_who_you_are?language=ja)エイミー・カディ「ボディランゲージが人を作る」
アドルフ・ヒトラー
彼のことを書くのはあまり良くないかもしれません。ですが、聴衆を引きつけ、洗脳するという点では、彼のスピーチは論理的に優れています。なんでも彼のスピーチを作るにあたり、エリック・ヤン・ハウゼンという人物が演説の指導・アドバイスをしたと言われています。ハウゼンは催眠術やメンタリストなどを主な仕事としていたそうです。ヒトラーのスピーチは、上手いというより洗脳の方法が優れていたということです。洗脳がかなりうまかったため、彼を支援し、賛同するナチ党員が多かったのです。そして、本来人間としてよくないことでも遂行してしまったのだろうと思います。この時の彼の支配下にいた人物の心理的状況などが知りたければ、ハンナ・アーレントの映画をみて、アウシュビッツ大量虐殺に関わっていたアドルフ・アイヒマンにつて調べてみてください。ヒトラーの演説の特徴は、声が比較的小さく、時々詰まったり、間が開いたりとあまり上手いとは言えないスピーチです。ですが、これらを権力者がすることで、聴衆たちは彼の声を聞かなければいけないと思い、静かに耳を傾けます。その結果、彼の演説はたくさんの人に聞かれ、理解されてきたのです。実際に、彼が話し始める時、一呼吸置き、話始めます。その間が聴衆を十分に彼のスピーチへと引きつける大事な要素です。
最後に
様々な人によって様々な方法がありますが、アドルフ・ヒトラーの方法はあまりお勧めできません。ステーブ・ジョブズなどの聴衆を楽しませ、未来に希望を持てる様なパブリックスピーカーとなれることを祈っています。最初は誰でも下手です。ですが、諦めずに改善し、何度も何度も練習することで必ず上手くなれるものです。YouTube上にはいろんな人のプレゼンテーションがあるので、たくさん見て練習をしてみてください。プレゼンテーションでの自分の見せかたは大事ですが、内容が最も重要なので中身なしで堂々とプレゼンはしないでください。中身を完璧にした上で、人にそれを十分に伝える手段がプレゼンテーションです。せっかく良い物、サービスを発明しても、プレゼンが上手くいかなければ、人に良さは伝えわりません。