日本の大学生、社会人で日常的に本を読んでいる人はどれくらいいるでしょう。最も本を読んでいる国ランキングでは、1位がインド、2位がタイ、3位が中国、4位がフィリピン、5位がエジプトとなっています。そして、アメリカが22位、そして日本が28位です。このようにこのデータから見ると、日本人はあまり本を読んでいないことがわかります。文化庁が2019年に実施したアンケートによると、16歳以上男女約3600人の中の47.3%が1ヶ月に1度も本を読まないと回答し、また67.3%が以前に比べ読書量が減っていると回答しました。このデータからわかるように、日本の成人による読書量は減少傾向にあります。OECDが世界79か国を対象にしている15歳の生徒の学習到達度調査では、日本の読解力は平均より高いとはいえ、2012年のピーク538点より34ポイントも下落しています。それでも平均より高いとはいえ、この数値は徐々に下がっていくのではないかと危惧しています。なぜなら、テクノロジーの影響を非常に大きく受けているのは現在の子供達です。今回は”読書量と言語力の繋がり”、”読書と読解力について”、”読書の必要性”、”読書と収入の相関関係”の4つに絞って日本の読書量減少による様々な影響について考えていきたいと思います。

読書量と言語力の繋がり

まず、言語力とは自分の考えていることを相手にわかりやすく伝えるコミュニケーション能力の一部であり。人間は一人一人知っている言葉や単語数などが違うので、いかにたくさんの人に自分の考えているイメージを共有できるかが非常に大切です。そしてこの言語力の向上には多くのインプット、つまりはたくさんの文章に触れることが非常に大切になってきます。もちろん話すだけでも言語力は向上しますが、専門的な知識や高度な問題を話し合うには、会話から得られる受動的な情報ではなく、自身で情報を探し、勉強する読書などの多くの文章に触れる能動的な機会を作ることがとても大事です。そのため、読書量を上げることで得られる知識量が増えます。その結果、使用できる言語量が増え、言語力が大きく向上することができます。例えば、自分が幼少期に訪れた海の景色について説明するとした時、相手は自分と同じ景色を見ていないため、同じイメージを共有するにはありとあらゆる情報、色や匂い物の位置、場所、時間帯など共有するべき情報が無限にあります。その時に自分の言語力が低いと、相手に薄っぺらい情報しか伝えられず、自分がイメージしていた海と全く異なる海が相手に伝わる可能性が高いです。このように読書によって得られる言語力は創造性を向上させ自分に多様な選択肢をもたらします。

読書と読解力について

読解力とは、書かれている問題や物語の前後の文脈から適切な意味を読み解くことですが、これは読書によって得られる能力の一つです。この能力は、例えば試験などで、聞かれている問題は何か、そして回答はどう答えるのが適切か考える能力でもあります。読解力が欠けていると相手の言っていることを理解するのは難しく、テストなどでも良い点数をとるのは難しいです。さらにコミュニケーションも円滑にできないでしょう。幼少期に家にあった本の数が成人以降の読み書き、数学、ITスキルにどのように影響を与えたかの調査によれば、幼少期に本がほとんどない家庭で育った子供は、テストの結果が平均より低い結果になりました。一方、本に囲まれて育った人は平均もしくは本の数に比例して学力との相関関係がみれらました。350冊を超えたあたりからはその相関関係が見られなくなったそうです。(Newsweekが論文を翻訳・要約した日本語の記事)このことから、幼少期から読書習慣があり、そのような環境にアクセスがあった人の方が成人以降もその能力を発揮できる可能性が高いということがわかります。そして、テストや契約書など多少難解な文章を読み解くためには読解力は必須です。

読書の必要性

上記で挙げた通り、読書をすることによるメリットは数多くあります。主なメリットは、知識の増強語彙力の増加読解力の向上創造性を育む、書く力が身につく専門家が時間をかけた研究などを簡単に知ることができるなど挙げればキリがないくらいに数多くのメリットがあります。現在はYouTubeに数多くの本の要約動画やインターネットで本を探せばその書評や要約に簡単にアクセスすることができます。ですが、自分で文章を読んで理解することの方が非常に大事です。本を読む時間はないという人はいるかもしれません。ですが、本を読まない人と読んできた人の間には大きな差が生まれます。もちろん経営者や芸術家などでも本を読まない人は稀にいますが、彼らは本を読むことよりも濃密な経験をしたり、本と同じ量と質の情報をアクセスできる環境にいるため、様々な立場の人たちと円滑に会話ができます。ですが、そのような環境にない人は本を読むのがベターです。また文字を読むのが苦手な人はAmazon Audio Bookなどがあるので、是非有効活用してみてください。

読書は収入を上げる

1000万円プレイヤーの読書量は平均所得者層の約3倍多く本を読んでいると書かれています。(BUSINESS INSIDER) *ここでは給与所得が1000万円以上あるビジネスマンに限っています。これには2通りの受け取り方があります。一つは、1000万円プレイヤーは稼ぐ人は平均所得者層より3倍本を読んでいるから1000万円稼ぐことができている。もう一つは、1000万円プレイヤーは平均所得者層より3倍本を読むことができる時間的余裕がある。この2つでしょう。ですが、おそらく1000万円プレイヤーたちは激務の中、自分たちの専門知識を強化するために隙間時間や睡眠時間を使い読書をしているのではないでしょうか。もちろん中には優雅に読書をする時間がある人もいるかもしれません。日本の平均所得が441万円(国税庁データ2018)となっているので、年収1000万円は多くもらっている部類であるといえるでしょう。もちろん、不動産、為替、株などを取引している人たちは除外されているため、単純に給与所得者たちの中では大きな額と言えます。1000万円以上を稼ぐには適した業界や職位についている必要があります。外資系のITや金融は高めの給与なのでこのラインは比較的簡単にクリアできるかもしれません。ですがそれ以外の分野でこれをクリアするにはマネジメントの必要な職位についている必要があります。そのような部下を関する立場にある人にとって読書は非常に大切でしょう。その地位に応じた適切な知識がなければ部下をマネジメントし、企業の利益を上げれれません。そこで必要なのが読書です。このことから、読書量とその人の収入にある程度の相関関係があることがわかります。今から何十冊読んだからすぐに年収が上がるわけではありませんが、読書によって得られた知識が役立つ時は必ず来ます。

まとめ

今回は、日本と世界の読書量というタイトルで書きましたが、主に日本人の読書量、読解力や収入との関連性について書きました。たくさんの先進国に比べ日本人の読書時間の減少がみられます。そしてYouTubeなどソーシャルメディアを使う時間の増加と共にに今後も読書時間の減少が考えられるので、意識して本を読む時間を作っていきましょう。若ければ若いほど、本を読むことによる将来への影響は大きいです。新しい分野のことを知ることができるのはもちろんの事、読解力の向上、日本語力のアップなど、言語力のベースとなる多くの要素を向上することができるので、日本語だけでなくこれから他の言語を勉強するときにも必ず役に立つスキルの一つです。以上、日本と世界の読書量についてのブログでした。最後まで読んでいただきありがとうございます。

Work Cited

Which Countries Read the Most: https://www.worldatlas.com/articles/the-countries-that-read-the-most.html

文化庁国語に関する調査: https://current.ndl.go.jp/node/39383

Reading Habits in the U.S.: https://www.statista.com/topics/3928/reading-habits-in-the-us/

OECD-PISA(2019): https://www.oecd.org/pisa/

27 High Paying Jobs for People Who Love to Read: https://www.businessinsider.com/high-paying-jobs-for-people-who-love-to-read-2016-9

これからの時代に求められる国語力(文化庁): https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301/003.htm

Sikora, Joanna. Evans, M.D.R. and Kelley, Jonathan. “Scholarly culture: How books in adolescence enhance adult literacy, numeracy and technology skills in 31 societies.” January 2019, Vol.77, pp.1-15

国税庁: https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm

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